遺産分割


 有効な遺言がない場合や遺言から漏れている相続財産がある場合などは,相続人全員による遺産分割協議が必要になります。被相続人が残した不動産などの相続財産は,相続の発生により,法的には法定相続分に応じて相続人が共有している状態になってしまい,その財産の使用や処分に支障が出てくるからです。

 

 


 遺産分割が未了のまま相続人が死亡してしまったりすると,相続人の代替わり,枝分かれが発生し,付き合いの希薄な多数の者が遺産分割の当事者となり,ますます遺産分割が困難なります。

 

 相続人間で協議してもなかなか進捗しない場合や協議に応じてくれない相続人がいる場合は,家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることをお勧めします。調停でも分割の合意ができなければ裁判所により遺産分割の審判がなされます。

 

 なお,相続人全員の合意があれば法定相続分とは無関係に遺産を分割できますが,現実的には法定相続分を考慮して合意することが多いものです。そこで,法定相続分を超えた分割を主張したいと考えている場合や主張されたりしている場合には,弁護士に相談し,法的な見解を聞くなり,代理を依頼するなりした方が賢明です。それなりの主張や具体的な証明は必要になりますが、相続人の一部が「特別受益者」であるとの主張や「寄与分」の主張をすることで,法定相続分より有利な分割結果を得られることもあり得るからです。

 

 相続が発生した場合、紛争が発生していない段階でも、自分の権利を守るために、または、納得して合意をするためには最低限の知識を得た上で遺産分割協議に臨む必要があります。現に紛争に発展している場合はもちろんですが、相続が発生したら、できるだけお早めに当事務所の弁護士にご相談ください。